福島県南相馬市小高区泉沢
JR常磐線 「小高」 駅の南南西3km、国道6号線を線路に沿って南下、大きく右にカーブした先の右側山裾村落の細い道に入り、そのまま走ると 「大悲山大蛇物語公園」 です。

この地は昔、大悲山と呼ばれ数多くの史跡や伝説を残しており、大悲山磨崖仏として知られた 「薬師堂石仏」 「阿弥陀堂石仏」 「観音堂石仏」 と呼ぶ 3つの磨崖仏群があります。
この薬師堂磨崖仏は、大谷磨崖仏(宇都宮市)、臼杵磨崖仏(臼杵市)とともに日本三大磨崖仏に数えられているようです。

 

「薬師堂石仏」  写真左4枚
道路を挟んだ駐車場の反対側にあります。
崖面を、間口約 15m、奥行き・高さ 5~6mに くり抜いた岩窟に 8体の大きな仏像が厚肉彫りされています。
岩窟に薬師堂が覆いかかっており、堂内に入ると裸電球が自働点灯し2台のエアコンが除湿?運転していた。
剥落欠損がひどく、どの仏像も顔は消滅しており痛ましい姿ですが、彩色も少し残り丸々とした頭部・胸幅が広く太い胴体は今でも保持されており、量感や迫力は少しも失っていない感じです。

小高町教育委員会の説明板をそのまま転記します。
薬師堂石佛

砂岩の岩山を穿った間口四十七尺、奥行十七尺、高さ十八尺の岩窟の奥壁に高さ八尺余の佛像を八躯半肉彫にしてある。
像は顔面剥落しているが衣紋の刀法並びに光背の手法に観るべきものがある。
この地は大悲山と稱されて古来から信仰されている。

保存要件
一、公益上ややむを無を得ない場合の外は現状の変更は許されない。
一、顔面を破損、汚損し又は拓本をとる等の行為は禁ずる。

昭和二十八年九月三十日 文化財保護委員会
平成十年二月 小高町教育委員会

 

「阿弥陀堂石仏」
「薬師堂石仏」前を右側に歩いてすぐのお堂内ですが剥落欠損がひどく撮っておりません。
伝承では阿弥陀仏が刻まれていたそうです。

 

「観音堂石仏」  写真右4枚
「大悲山大蛇物語公園」 の駐車場から細い村道を 400mほど戻りさらに細い道を左折するとお堂前です。
観音像の周囲に小さな化仏が多数彫られているらしいが風化が激しく進み、観音像も含め確認が難しいです、この千住観音坐像は日本最大級の高さをほこるとか。

観音堂前の説明板ををそのまま転記します。
観音堂石仏

大悲山の磨崖仏の一つである観音堂石仏は岩窟に彫り込まれた、十一面千手観音座像であったと考えられている。
現在はほとんどが剥落欠損しているが、本来は像の高さ約五・五メートル、台座の高さ約二メートルの、堂々とした観音座像であったことが明らかである。
千手観音座像の両側壁面には、化仏座像多数が薄肉彫りされている。これらは二重円光の光背と台座を伴っていて、賢劫千仏とされる。
観音堂石仏は、観音信仰に基づく、平安時代の磨崖仏の一つであり、わが国の仏教美術史上重要な価値を有するものとして、昭和五年、国の史跡に指定された。