平成16年秋、恒例となった日本石仏協会埼玉支部の一泊見学会が 「下総地方の石仏を訪ねる」 と題して、本部会員で地元の町田さんの案内で行われた。
特に、成田空港に隣接した芝山町・富里町では、私一人で観たら六地蔵と勝手に理解したであろう石幢型六観音が多く眼に付いた。
中には、如意輪観音像だけの珍しい六観音塔が六地蔵塔と寺の入り口の左右に一対で立ち並んでいた。
そして、六地蔵と六観音の計12体を刻み、六地蔵信仰と六観音信仰が一体化したような特異な石幢もあった.....
どちらも六道の苦しみを救う としているようであるが。
この小さな芝山町だけで、このような六観音が11基,六地蔵が14基もあるとか。

仏教では六道輪廻の思想があり、人間を含めたすべての生物は死後四十九日を過ぎると、前世の行いにより六道と呼ばれる地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の 六つの世界のどれかに生まれ変わる、すなわち生死を繰り返す(輪廻)としています。
この輪廻の苦しみは観音菩薩を信仰することで救われるとされ、平安時代に貴族の間で観音菩薩を信仰の対象とした六観音信仰が広まったようです。
しかし、庶民の間では観音菩薩ではなく、地蔵菩薩を信仰の対象とた六地蔵信仰が全国的に広まったようで、弥勒菩薩がこの世に現れるまでの無仏の五十六億七千万年間、地蔵菩薩が六道の辻に立ち死者を救って下さる としています。

六道と救って下さる観音さまと、お地蔵さん
六 道   観音さま            お地蔵さん
地獄道  聖観音             鶏亀地蔵・延命地蔵・檀陀地蔵
餓鬼道  千手観音            陀羅尼地蔵・弁尼地蔵・宝珠地蔵
畜生道  馬頭観音            法印地蔵・讃竜地蔵・大光明
修羅道  十一面観音          持地地蔵・護讃地蔵・清浄無垢地蔵
人間道  准胝観音・不空羂索観音    宝性地蔵・破勝地蔵・除蓋障地蔵
天上道  如意輪観音          法性地蔵・不休息地蔵・日光地蔵